観劇鑑賞ADME録

色んな作品を咀嚼するブログ。ネタバレしかないです。

【映画感想】TITANE-チタン-

鑑賞日:2022.5.3(火祝)

※1回目

2022年の映画作品。

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藤本タツキ作品に出てくる丸一日映画漬けヒロインに憧れて、GW後半初日に『丸一日映画館に篭っちゃおうデー』を一人で勝手に開催しました。暇人か?個人的に追っかけてる舞台演出家の方がとある映画の鑑賞ツイートをされていて、あの人が見てるなら見たろ!!と何も考えず何も調べず朝8:50から一発目にキメた映画、それがフランス発の映画『TITANE(チタン)』でした。

朝イチで見る映画じゃなかった。


おおむねこんなあらすじ

幼い頃、交通事故の怪我のため頭にチタンプレートを埋め込まれた女性アレクシア。大人になった彼女は、表ではモーターショーでセクシーに舞うダンサー、裏では自分に声をかけてくる人間を次々殺しつつ、車とセックスに興じるヤベエ女に成長していた!人を殺しすぎて警察に追われる身となったアレクシア、毛を剃りサラシを巻き自分で鼻を殴って整形することで行方不明者『アドリアン』(男)に成りすます。そんなん可能なの?どう見ても怪しいと思うけど引取り人の『アドリアンの父』は息子だと信じきっている様子。アレクシアはこの危機を乗り越えられるのか!?そして彼女は本当に車との子供を孕んでしまったのか!?!?

 

全体的な感想

いやそうはならんやろ…の連続で面白かった

なんかもうそういうものだと楽しめれば……車とエッチしたら金属製の子供だって孕んじゃうよね、うんうん。絶対想像妊娠オチだと思ってたよ。もしくは描写ないだけで実は何らかの性暴力を受けてたとかね……。ガソリンと受精でもしたんか?チタンフェイスのベイビーは笑いそうになった。笑うところじゃない。

ただでも設定がぶっ飛びまくってることを抜きにしたら、自分の根本に関わる部分が常識と大きく逸脱したはみ出し者のアレクシアが、歪んだ形とはいえ自分を全肯定してくれる『父性』と出会う事で安心して出産に至ることが出来た、って話なのかな。ある種の愛ですね。依存とのラインが実に際どいですが。アレクシアさん実父とそんなに上手くいってないっぽかったもんね。事故前から。だからって蒸し焼きにする事無いと思うけど……。

アドリアンのパパも良い人そうで結構メンタルが限界だった。アドリアン君、行方不明者で捜索かけられてたけど、ほぼほぼ死亡しているような状況だったんじゃないかな。知らんけど。火事場で丸焦げの男の子の幻覚見てたし。アドリアンの居場所に収まってくれるならもう誰でも良かったのかもしれないですね。知らんけど。お尻にステロイド(?)筋注するシーンでドキドキしてました。


登場人物について

・アレクシア(アドリアン)

頭にチタンが埋め込まれて車とセックスするようになった。ナニをどうやって……?という詳細描写は観客の想像力に委ねられてます。なんであんなバカスカ人殺しまくってたのかはよく分かんない。ストレスかな?レズビアンの同僚の家で殺してたら続々と同居人が出てくるところは笑っちゃった。

「この家、何人いるのよ!!」

ほんまそれ

一人取り逃した事で凶行が露呈してからの行動力・判断力の速さと勢いは吉良吉影さながらの迫力がありました。あの世界に辻彩とそのスタンド・シンデレラは居ないので自分で鼻を打ち付けて整形。ウイルク並の覚悟を感じる……。

明らかに『何か』を孕んでいるのに毎日サラシで胸とお腹をぺたんこにせざるを得なかったのは純粋に痛そうだな……と思った。

序盤のかんざしで髪を纏めるスタイル好きです。右側頭部のチタンプレートは隠すんじゃなく露出させるんだ……と思った。カッコいい。


・ヴァンサン(アドリアンの父)

健全そうでいて、実はだいぶ限界の人。体力至上主義のレスキュー隊の隊長で筋肉も凄いけど、その分『老い』がとても怖い人。奥さんの態度とか見るに、アドリアン君はただの行方不明者ではなく客観的に見て生存が絶望的なタイプの、遺体だけ見つかって無いタイプの行方不明者なのかなって勝手に想像してました。合金ベイビーを託されて前途多難です。頑張ってほしい。


まとめ

全体的に体調悪い時に見る夢みたいな映画だな〜って思った。破水して真っ黒なエンジンオイルが出てくるシーンとかね。絶対金曜ロードショーとかでは放送出来ないタイプの映画だと思うのでこの機会に観れてよかったです。


ここまで読んでいただきありがとうございます〜!