観劇鑑賞ADME録

色んな作品を咀嚼するブログ。ネタバレしかないです。

【映画感想】新感染 ファイナル・エクスプレス

鑑賞日:2022.7.14(木)
2017年の作品。
プライムビデオにて鑑賞
プライム対象作品では無かったんですけど何故か父親が課金して昼間見たので24時間経つ前に急いで母と見た次第
なお母親は極度のホラーアレルギー 果たしてまともに鑑賞できるのか!?
まあホラー苦手なのは私も人のことは言えんけど……

あらすじ

ファンドマネージャーとしてバリバリ働く主人公。働きすぎて妻は愛想を尽かして釜山に、娘スアンもなんだか諦めモード。誕生日にWiiを買って機嫌も取るもなんとそのWiiは2台目。やらかした雰囲気……。
『プレゼントより、ママに会いに釜山に行きたい!』という娘のためしぶしぶ釜山行きの特急列車に乗る父娘。同じ列車には妊婦とその旦那、高校球児、高齢姉妹やバス会社社長などのメンツ。
出発直前、足に歯形のある女性が転がり込む。何事もなかったかのように発車する列車。トイレでもがく女性。彼女は『感染』していた。実はそれは、列車の外の世界でも……。
まもなく列車内はゾンビパニックに!あれやこれやで乗り切った先の駅もゾンビ!ゾンビ!ゾンビ!!
どうやら韓国全体がこんな感じらしい。いや、釜山はなんとか大丈夫だとか???
ゾンビと戦いつつ釜山を目指して列車旅を続ける一行。
果たして主人公は妻の元にたどり着けるのか!?

感想

いやタイトル……ギャグじゃん!!!
これ原題なに??ってググったら直訳すると『釜山行き』らしいですね。いや〜シンプルイズベスト!!まあでも日本人わかりやすいのを求めるからなタイトルに……。
特急列車内というかなり特殊な環境下でのゾンビパニックは新鮮で面白かった!外の世界からの情報が絶妙に制限されてる塩梅もいい。
あと、とにかくマ・ドンソクはマジで最強なんだなの一言に尽きる。
あの人がいたら大体大丈夫。勝ちフラグ
主人公がバッチバチの頭脳派なので、そこにバッキバキの肉体派マドンソクが加わったらまあ最強に決まってるんですわ。
だからってゾンビだらけの車両縦断はマジで気が狂ってるとしか思えんけどな
マドンソク、後半ゾンビ側として立ち塞がって来たらマジで詰みだったのでそうはならずに良かった……けど、それはそれでむっちゃ胸熱展開なのでちょっとがっかりもした

スヨンちゃんの歌う『アロハオエ』、お父さんのために練習した歌、最後にトンネル内で歌っていたのは鎮魂的な意味があるのかな。それがために生存endに繋がったんだと思うと良かったねえ……ってなる。

マドンソクの最強妊婦守護おじさんとかスヨンちゃんみたいな他者を助けるために動ける者は少数派で、大体は自分勝手な奴らなんだよね。こういうエゴがモロに出るのはゾンビパニックのいいところだな〜。バス会社のクソ社長はまんまそうだけど、ゾンビ化したお姉さんを見て扉を開けてしまう妹おばあさんもある意味ではね。私は確実にエゴ剥き出しタイプだと思うので因果応報的にゾンビ化する人です。この世界がゾンビ化しませんように……。

まとめ

ホラーっていうよりパニックホラー。
マドンソクが無双してるのでアクション映画に分類しても良いかもしれない。
エンタメ作品として面白かった〜!ホラーって聞いてたけど全然余裕だったな😄って隣見たら母親は普通に気分悪そうで翌日1日寝込んでました。そ、そんなに……?
続編はなんか色々違うらしい 機会があれば見てみたいな〜

【舞台配信感想】マリー・アントワネット

鑑賞日:2022.7.10(日)
2021年、韓国にて上演。

韓国上映のミュージカル、四日間の特別配信!
日本語字幕付なので韓国語何もわからん私でも安心です
土曜の配信観るつもりが、入金期限が配信30分前で普通にオーバーしてたので最終日の日曜に滑り込んだ(アホ) 滑り込めたのでセーーーフ!!!!!

あらすじ

贅沢の限りを尽くすフランス王妃マリー・アントワネット
日々のパンにも困るフランス貧民マルグリット・アルゴー。
共に『M・A』のイニシャルを持つ対照的な2人。マルグリットは怒っていた。どうしてあちらは幸せでこちらは不幸せなのか?どうしてあちらは笑っていてこちらは泣いているのか?
そんなマルグリットが出会ったのは、王妃の醜聞を有る事無い事書き立てる新聞屋、そしてそのスポンサーであり打倒王妃を目論むオルレアン公。三人は国民の敵・マリーアントワネットを地に落とすため、あの手この手で王家の評判を落としていき、ついにフランス革命を起こすまでに至る。
かつては栄華の極みの頂点にいたマリーアントワネットの惨めな姿を見て、マルグリットは何を思うのか?民衆の信じた正義とは本当にあるのだろうか?

感想

マリーアントワネットが題材の時点で絶対重たいだろうなあ〜〜〜とは思ってたのでそこのギャップとかは無かったのですが、それはそれとして重かった……
マリーの悪人では決して無いけれど、現実を直視出来ずふわふわ散財してしまう心の弱さ的なのがリアルで、あわ………てなったね……。

マルグリットについて

マルグリットさんは終始カッコよかったなー!!まさかの出生の秘密はぶっ飛びまくってて笑ったけど、『マリーと面影が似ている』のが伏線になってておお〜ってなった。前半の、マリーアントワネットis絶対悪!!て敵意ギラギラにしてた時はもう向かう所敵なしって感じだったのが、革命後のマリーを見ているうちに本当にこれが正義なのかぐらついてしまってるのが良いな〜って思った。『正義』のある人間は迷いがなくて強いし、それが揺らぐと方向性を見失っちゃうんだよね。カッコいいヒロイン。好き。でも新聞屋とオルレアン公はしょっ引かれたのに彼女は特にお咎めないのもどうなんだろう……

その他いろいろ

  • フランス革命のカオス感が凄かった……。マリーの親友さんが暴徒に襲われて首取られてデビルマン原作のヒロインみたいに首を棒に括られて掲げられてるの幾らなんでも演出過剰だろ!!!って観終わった後ググったら経緯はともかくガチでデビルマン原作ムーブはやってたらしくてひっくり返った。フランス革命、怖過ぎる……
  • オルレアン公の『俺は最高!』みたいな歌、あんなに真っ直ぐな自画自賛の歌あるんだって笑ってしまった。俺はジャイアンガキ大将天下無敵の男だぜレベルじゃん……。でもこの人マジで有能だよね。扇動の天才。怖い人だな〜〜〜
  • 第一幕の華やかなマリーと、第二幕後半の惨めなマリーがとても同じ人には見えなくて凄かった。勿論メイクや衣装もあるけれど役者さんの演技力……!マリーの息子関連の話もやるんだって暗い気持ちになった。ルイ17世の実話は悲しすぎるよね

まとめ

華やかな上流階級と貧しい下層階級の対比が印象的だった第一幕、二つの世界が革命によって混じり合ってカオスになる第二幕、どちらも良かった!!
おもしれ〜😆‼️とかとても言えない重たい話だったけど配信見れて良かった。もし今後また日本で再演されたら観に行きたい!

【映画感想】犬王

鑑賞日:2022.7.10(日)
2022年の作品。

思い立って観ました!!!
これマジで観て良かったマジで マジで マジで
歌詞付き上演ってやつだったけど、字幕みたいに歌詞が表示される感じですごい助かった。聴覚情報だけじゃ限界ある人なので……

あらすじ

時は室町、足利義満の治世。
壇ノ浦に沈んだ三種の神器が一つの宝剣に呪われ失明、色々あって琵琶法師となった友魚(ともな:のち友一⇒友有)。
何らかの呪いにより途轍もない異形で生まれ落ち、猿楽の才能がありながら犬同然に扱われている犬王。
2人の少年が出会い、犬王の周囲に漂う亡霊……語るべき手段を持たない、無数の平家の亡霊の存在に気づいた時。未だ語られない2人は「友有座」を立ち上げ、『平家の物語』を全く新しい形で歌い上げ踊り上げることに。
その度に犬王の異形の呪いは解けていき、同時に2人の語る『物語』に人々は熱狂していく!
その熱狂の先にあるものは?呪いが解ける、その先には一体どんな物語が??

全体的な感想

とにかく超〜〜〜〜〜〜〜!!!良かった!!!!!!
なんだろ、もちろんストーリーもキャラクターもメッセージ性も歌も踊りも何もかも良かったんだけど、とにかくアニメーションがすんごいレベル高かった!!!
ジブリの『かぐや姫の物語』観た時と同じ感情 
これがアニメーションの底力……
特に友魚が琵琶法師達に出会うまでの、視力が無いながら放浪する描写とか凄すぎて……名札のシーンとかさ!アニメーションって凄い あれぞ技術ですよ

友有と犬王の語る平家物語

前情報で知ってたけどマジでロックフェスすぎて最高でしたね!!!!!あそこまで突き抜けてくれると本当逆に何も気にならなくなって楽しい……いやでも木造の橋の上で炎の曲芸やってんのはドキドキしたな 燃えるやろ
Queenのライブってあんな感じだったんだろうか……そら民衆熱狂するよね オートミールしか食べた事ない人にラーメンとハンバーガー与えるようなもんじゃん(?)
友有のいた琵琶法師達のみんなが犬王の悪口言ってるシーン、「あれは琵琶じゃないだろ!!」は悪くっていうか普通にその通り過ぎて笑ってしまった。あれは琵琶ではないです。でも一番偉い?おじいさんはおおらかに犬王を受け入れててほっこりした。こういう人がトップに立ってると良いよね……

『存在しない者達』の物語

呪いの解けた、その後の世界
定本以外の平家の物語を語る事を禁じられた犬王と友有。
友有を人質に取られた形の犬王はそれを受け入れてその後も義満に重宝され、一方拒みきった友有は河原で斬首。
あんなにハッピーな上覧演舞からここまで落とすかよ。
友有の父がそうであったようにこの映画の世界観では『亡霊』というものが存在して、けれどある程度時が経てば怨念も鎮まり亡霊も消えていくんですよね。そんな中で室町から令和までこの世を睨み続けた友有の怨念の強さたるや!!!!!

脚本家、野木亜紀子先生の『MIU404』もそうだったけど、徹底して存在されないことにされた者達の物語だったなあと思いました。
存在しないことにされた定本以外の物語を持つ平家
異形のため人間ではなく犬として扱われた犬王
この二つの存在を歌い上げた友有も結局は亡き者にされ、
生きながらえた犬王も名前以外は何一つ残らなかった
(歌いたい題材を取り上げられてるんだから、そりゃあ何も残せないだろう)
あ、宝剣の犠牲になった友魚の父や、それを嘆く母もある意味では『存在しないとされた者』かもしれないね 明らかに身分低そうだったし。史実では宝剣はその後見つからず別のものを三種の神器に組み込んだらしいです。

『亡霊たちは自らの物語を聞いてもらいたがっている』

これは平家の亡霊に囲まれ育った犬王の台詞ですね。
メタい話だけどこれを友魚・犬王に拡大した時、鑑賞者である私たちが『犬王』という2人の物語を知ったことで満足した、ってこじつけることも出来ちゃうな〜と思いました。これは考察ではなくこじつけです。

まとめ

もう一回観たいな……ってタイプの映画です
一回総浚いしてから、あの怒涛の始まりを見てみたい!!!!!
パンフレット完売も納得ですね パンフ欲しいタイプの映画
パンフ欲しい……(買えなかった人)(見るのが遅い)

何も考えなくても観ていて楽しい、けれど最後まで見ると何かを考えざるを得ない、そんな映画でした



どうでも良いけど犬王のご尊顔、人間に戻った後も画面には映らない演出とかが良かったな〜(ただのワガママ)

【映画感想】ゲキ×シネ「狐晴明九尾狩」

鑑賞日:2022.7.9(土)
2021年の舞台作品。の映画配信。(ゲキシネ)

初!劇団☆新感線作品!!
先週漆黒天を観に梅田ブルク7まで行った時めっちゃでけえパネルがあって面白そうだった&舞台大好きフレンズに激推しされたので😆

もうパネルの時点で衣装煌びやかでテンション上がるよね〜

こんな感じのあらすじ

色んな意味で魑魅魍魎が跋扈する平安京。九尾の狐が来たという凶兆を示すほうき星を観測した安倍晴明は、政治の実験を握る帝の母・元方院に伝える。しかし大陸から帰還した陰陽師、賀茂利風が既に上申済み。だが賀茂利風の様子が妙……なんと九尾の狐に乗っ取られていた!
同じく大陸から渡ってきた妖狐、タオフーリン・ランフリーンも九尾の狐を追って平安入り。安倍晴明はタオと共に賀茂利風(≒九尾の狐)を倒すため動き出す。
安倍晴明と賀茂利風、知恵くらべで勝つのはどちらか!?

全体的な感想

面白かった!!元気の出るタイプの舞台だったな〜。
最初、なんか独特な雰囲気(台詞の軽さとかギャグのノリ)に、やべえ ついていけるかこれ……?と若干の焦りを感じたものの、観ているうちに慣れてきて楽しめた!だから予習はしとけと……
とにかく衣装や舞台が超豪華!!これを見てるだけで超楽しい。
役者の表情をまじまじと見れる映像媒体に感謝すると同時に、舞台演出もっと見たいから全景映像も欲しい……などという欲深なことを考えてました。現地行けって話やね。本当に。

安倍晴明と賀茂利風

知恵くらべは基本的に安倍晴明がほぼ圧勝、強いとはいえガワが晴明に一歩及ばない賀茂利風なのもあって、九尾の狐は毎回どうしても晴明の一枚下。どんだけ知恵を凝らしても晴明にはあと一歩及ばない。
それはつまり賀茂利風もしかり……なんだけど、この一連の流れ全てが本来の賀茂利風の読み通りってのがニクイですよね。賀茂利風の負けだけど賀茂利風の勝ちってワケ!(?)。安倍晴明に追いつき追い越す為に大陸に渡ったのに、最期は『自分が九尾の狐なら全力を出しても晴明に一歩及ばない』ということを見越して取り込まれるのがなんか……絶対悔しかっただろうし、でもそれ以上の晴明への信頼が……とか考えるとね ア〜 呻いてしまう
ラストで感情を無くしてしまった晴明の今後を考えるとしょんぼりしちゃうな。ただでさえ狐の子って風評で化け物扱いなのに、いよいよ不気味に人間離れしてしまった。周囲のメンツ、頑張ってほしい。頑張って晴明を人間サイドに引き留め続けてほしい。まあ頑張らなくても喜怒哀楽激しすぎるお祭り野郎ばっかりだけど。狐晴明の今後に幸あれ……

ほか、色んなキャラへの所感

  • どんぎつねさんタオフーリンちゃんが可愛すぎてまさしく眼福ってやつだった……。あとああいうタイプの蘆屋道満初めて見た気がする!ランフーリンくんアホの子すぎて可愛かった。大陸から来た姉弟、色合いがパステルカラーで良い意味で浮いてて良かったな
  • あっあと道満おじさん!!!あの人凄い好き!!!今作の晴明には賀茂利風っていうライバルポジションがいるからか、道満おじさんは特に晴明に気兼ねせず伸び伸び野良陰陽師を満喫してました。良かったね。あと取り巻き妖が濃すぎるんだよな。股間の蛇口から油はダメでしょ……。もふもふフェチって設定、絶妙にやらしさが緩和されてていいな〜って思った。可愛い。アダルトってなんですか?
  • 右大臣がまさかあんなスッキリ爽やか伊予柑系男子になるとは思わなかったな〜。左大臣の悪い顔めっちゃ好きだった。末路ワクワクしてたのにうっかり寝ちゃって気がついたら退場してた(アホすぎ)、内容に関わらず居眠り常習犯なのでいい加減対策考えなくちゃなあ 勿体なさすぎる

まとめ

まさしくエンターテイメントな作品だった!!
これマジで現場で見てみたかったなあ……
もし次、劇団☆新感線の舞台が発表されたら今度こそ現場にいこうと思いました。やっぱり現場が一番だよね。しみじみ。
あと良い居眠り対策ライフハック知ってる方いたら教えてください。

【舞台配信感想】千と千尋の神隠し

鑑賞日:2022.7.5(火)
2022年の作品。

せんちひ舞台、存在知った時にはチケット完全完売😄
配信していただけただけでありがたい……
アニメで知ってる話だし配信だしブログ書かなくても良いかな〜って思ったけど己の記録用に箇条書きで感想メモ。

あらすじ

ほぼ原作通り。

箇条書き感想

・タイトル、『千と千尋』の2つの千の字がくっついて鳥居になるの凄い好き
・BGMで泣いちまう 久石譲、強……
・両親をじっと見る、物陰の物言わぬアンサンブル怖……
・ハク様〜💕💕💕
・ハク様の所作が良い
・神々のビジュアルがすごい!!!舞台オリジナル神もいる?
・カエルすっげえ!!!人形動かしてるだけなのにクオリティ高すぎる
・『ボイラー室』『釜ジイ』の単語だけで安心感がすごい
・ミニチュアの電車がいいね
まっくろくろすけ可愛すぎ!!!
・てかまっくろくろすけじゃ無いな それトトロ
・リンさん美しい 礼儀に厳しい 筋が通っている
・ゆばーばの顔面デカくなるのすっげえ 
・オイオイいう緑の頭むっちゃキモくて笑う 何で赤フン?????
・マジでリン美しい いい姉御
・リン俺だ〜〜〜〜〜〜〜‼️‼️‼️‼️‼️
・リン好きすぎる
上白石萌音さんの千尋の不安な顔が凄い泣けてくる
カオナシの動きキモすぎる 素晴らしい
・『油屋に恐ろしいものが入ったよ!』クサレ神に見せかけてカオナシってのがいいよね
カオナシの動きキモ……
・愛の力だなあ🫶✖️3
・ぬいぐるみを上手に使う舞台だなあ
・電車の、半透明の乗客たち、凄い良い
・ハク様真名解放シーンはもう少し溜めてくれても良かったなあ……
・ラスト、『千尋!』と呼ばれて嬉しそうに笑う千尋の演出、いいな。名前を取り返せたもんね。

まとめ

ほぼ原作アニメ映画準拠ながら、それを表現する演出が舞台ならではで面白かった!!走り抜けていくときのドアの演出とか🚪🚪🚪🚪🚪
湯屋での歌も良かったし、ミュージカルでも良いの作れそう。というか久石譲がマジで無敵ということを改めて見せつけられました。
千と千尋ジブリでもかなり好きな作品なんですが、例えばリンの行きたがる海の向こうの街、行きっぱなしで帰りの無い電車等、特に説明は無いけど何となくこちら側にその正体を想像させる、その匙加減が本当絶妙だなあと改めて思わされました。

【映画感想】漆黒天〜終の語り〜

鑑賞日:2022.7.3(日)
2022年の作品。

映画と舞台のメディアミックス企画『ムビ×ステ』第三弾。舞台『漆黒天〜始の語り〜』は8月下旬にお披露目です(チケ入手済)
末満健一のオリジナル作品なのでま〜〜〜〜〜絶対おもろいんやろなと謎の余裕をかましながら梅田ブルク7に向かいました。

全体的な感想

やむっちゃくちゃ好みですけど⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️⁉️
全然余裕かましつつ、まあでもTRUMPシリーズではない完全オリジナルだし時代劇だしどんな感じかな〜〜〜と気楽に臨んだら好みすぎて参ってしまった。うえ〜〜〜末満健一さん、マジで末永く健康的に創作活動続けてください……。
90分の短めの映画、序盤辺りはこの台詞なんか説明口調すぎるな〜とかここの流れ粗いな〜まあ90分映画だしな〜、とか思ってたところが、後半でしっかり説明付けされるのがなんかもうずるいなって思っちゃった。ずるいわあれ。
そしてオチがとにかく好み!!!大好きなオチ!!!
後味の悪さが絶妙〜〜〜😄😄😄😄😄

なんか舞台版で更に観客のメンタルボコボコにしてくるらしいので、自分の中での整理&記録のため以下色々詳しめにネタバレしていきますね。
この記事読んでくださっている時点で大丈夫とは思いますがネタバレ注意です🤫

簡単なあらすじ

記憶喪失の主人公、次々襲い掛かる刺客を異常な強さで斬り殺しながらふらふら辿り着いた先は江戸。ヤンチャ娘、喜多ちゃんに拾われ『名無し』と名付けられた名無しは江戸で自分探しを始めることに。そうして浮かび上がるキーワードは『日陰党』、『斬り殺された家族の死体の記憶』、そして『宇内陽之助』。
しかしその後も名無しの正体は二転三転し、名無しの、そして江戸の街全体の秘密が徐々に明らかになっていく。

登場人物について

  • 名無し

今作の主人公。天パなのか直毛なのか気になる……
何が起こっても冷静沈着。例え自分のアイデンティティが根本から揺らごうとも冷静に分析・考察するあたりが、人間味がやや薄くて不気味。殺気センサーに至っては性格すぎて何こいつ……ロボットか?て感じ(時代劇!)
この不気味さがクセになる。

  • 旭太郎

きたろう君。太陽の当たらない方。生まれて間も無く埋められて、掘り起こしてくれた義理のパパはアウトロー野伏とかいう鬼ハードモード人生ですが、天性のカリスマで少年段階で似たようなハードモード人生の少年たちを束ねあげ、義理の父親をぶち殺して日陰党を作ります。いやこの人子どもの時点で色々凄くない?ド派手な日陰党トップでブイブイ言わせてた頃は彼も白いエクステでオシャレしてました。
ちなみに旭太郎、この映画版において度々差し込まれる少年時代のエピソード以外は他者から語られる、或いは憶測の『旭太郎』しか出てきません。伸び代のあるキャラ。

  • 宇内陽之助

ようのすけ君。太陽の当たる方。人生イージーモードです。(本当にそうかな?)
これを書きながら思い返していましたが陽之助自身のモノローグみたいなのってあんま無かったですね。日陰党討伐隊にあたってもなんか後方で……じっとしてるだけだし……。何を考えていたのか、ぶっちゃけよく分かりません。
そこはかとなく怪しさ満点で舞台版が今から楽しみでならない。こいつも伸び代がある。

  • 喜多

ヒロイン枠にあたってもおじさんは容赦無さすぎたなあ〜〜〜最高!ああいうタイプでガチの殺意剥き出しにしてくるの意外性あって良かったし、特に躊躇いもなく返り討ちにして殺す名無しさん、強……てなった
殺意バチバチで夜なべして似顔絵大量生産していた彼女のことを思うと手を合わさずにはいられません。ていうかあの似顔絵絶妙に似てて好き。
『名無し』の名付け、今にして思うと記憶を無くしたお前に特定の名前など与えてやるものかという憎しみみたいなものも垣間見えていいね

  • 玄馬先生

いや好みすぎて死ぬかと思った
なんだこの人……一つ台詞言う度に(ウワッッ好み)てドキドキしてた。空気感が絶妙。ウゲ〜〜〜好み、、、、、、
稀有な生存組だけど作家業でご飯食べてるのに利き腕を切られて可哀想。
喜多ちゃんとまさかの🫶でマジで⁉️⁉️⁉️てなった(外見年齢差が……)
この人も『獣腹』がうんたら〜とか言い出した時いや江戸時代だって双子くらい生まれるでしょ😅って思ったけどあのクドイ説明もちゃんと理由があって好き

  • 二郎太・三郎太

君ら真剣に喜多ちゃん捕まえる気あるの???って前半突っ込んでた。無かったね。
いやこの名前なら一郎太さんも絶対いるじゃん……と思ったらパンフ読んだら居たけど故人みたい。えっ気になるじゃんそれは……。旭太郎達に殺された、でもいいけど、日陰党に入っちゃった、とかもいいよね〜。ファッションセンス的には日陰党に近いし(?)

  • 嘉田 蔵近

まさか開幕5分で死ぬだなんて……
陽之助さんの心友。あまりにも綺麗なお顔立ちすぎるので、舞台でどんな風に翳っていくのか今から楽しみすぎるキャラクターです。歪み前提にすな。舞台版HPの人物相関図によると日陰党の美人になんか誘惑はされるみたいです。いや誘惑って何?

旭太郎くんの義理のパパ。おいキタロウ!とか言わないのかな。旭太郎くんにはどんな過酷な環境でも笑って欲しかったみたいです。無茶言うな。なんだかんだで擬似親子の愛があったっぽいのがズルいですね。でもそれはそれとして人殺させまくって「笑え😄‼️」はサイコパス教育すぎるから。

その他もろもろ

日陰党について

いうて映画ではそんなに出てこない。みんな異常に派手で名前も夜露死苦★みたいな名前(伝わってほしい)
日陰党の皆は旭太郎のことを心酔しているようで。その後日陰党壊滅にあたって関係性はどのように変化していったのか気になるところではあります。舞台版楽しみ〜!
個人的な感想ですが、笑えない旭太郎の代わりに皆笑顔全開で道場の人達を殺戮しまくってて、旭太郎くんは良い友達を持ったなあとほっこりしてました。

名無しの記憶について

名無し、ぶっちゃけ記憶はほとんど戻っていません。
彼の語る旭太郎エピソードはほぼ全て「『仮に』じぶんが旭太郎だったとしたら、こうしただろう」という仮定の話ばかり。なので映画版のストーリーが根底からひっくり返ってもなんもおかしくないのです。舞台版こわい……。
とりあえず整理すると、名無しの記憶は以下の二つ。
・日陰党に襲われる道場、そして仮面の男。
・愛する家族、「俺は誰に見える?」の問いに「貴方は宇内陽之助です。私がそう言うんだから間違いありません」と笑う妻の富士。
・家族の死体
カメラワークの都合かもしれんけど、道場での仮面の男は明らかに向こう側でした。あれっ名無しマジで陽之助なのでは???
そして家族を殺した者も誰なのか全く謎です。名無しの推理では陽之助に嫉妬した旭太郎が家族を殺してしまい、自責の念で崖から飛び降り――という筋書きでしたが別にそんなんじゃなくても幾らでも筋書きを書けそうです。舞台版コワイ!

宇内陽之助と旭太郎について

2人がどういう人格をしていたのか全く謎です。中心人物なのに!?
名無しは結局ほとんど記憶を思いませんでした。だから想像で補完しているわけだけど、想像はあくまで想像でしかない。
そして陽之助もまた、彼自身のモノローグ等は一切ない。むしろ感情を徹底的に抑えている。本当に彼は陽の当たる道を歩くにふさわしい人物だったのかな?
なんか幾らでも良くない想像出来ちゃうけど、あえて舞台版を見るまでふたしておきたい気持ちもある。あらゆる全てを受け入れる心だけを準備しときたい。ハイパー獣腹で3人目の宇内陽之助が居た可能性だってゼロではないし……(三つ子説!?)

ラストについて

最後に立って朝陽を浴びる『彼』が誰なのか……名無しなのかそうでない方か、旭太郎なのか陽之助なのか。
マジでどっちでもいいな!というのが私の感想です
というよりあれは陽之助でしょう。誰がなんと言っても陽之助。
だって『旭太郎は笑わない』から。
朝陽を全身に浴び、にやあと笑う男が陽之助でないわけがないのです。生き残っていたのがどちらだったのしてもあそこにいるのは陽之助なんだと思う。
う〜んやっぱりあのラスト良いな……あの笑顔の不気味さが好き。不穏加減が堪らんな〜〜〜〜〜。

まとめ

う〜〜〜〜〜〜ん、好み
とにかく濃くてテンポが良かった。テンポの良い話は好きです。あまりに豪快に人が死んでいくのに来月控えている舞台版がこれの前日譚ってのが流石すぎます。漆黒天/zeroじゃん。
舞台版が今から楽しみでしゃ〜ないのですが、とりあえず何が来ても受け入れる広く深い心を準備しておこうと思いました。

【映画感想】シン・ウルトラマン

鑑賞日:2022.6.15(水)
2022年の作品。


水曜日の1200円デーの有難さ、噛み締めていきてえ

途中まで書いてたのに暑さにやられて完全に投稿忘れてました。梅雨が明けたのでしれっと投稿します。


こんな感じのあらすじ

やっべえバケモンがやたら出現する国ニッポン‼️国は奴らを『禍威獣』と名付け、禍威獣を撃退する精鋭チーム『禍特対』を結成。今日も頑張って禍威獣退治だ‼️
そんな中突如現れた巨人。禍威獣を最も容易くボコボコに。『ウルトラマン』と呼ばれた彼の正体は……何と禍特対メンバー神永新二!?そしてまもなく地球に訪れる『外星人』の数々。彼らが狙うのはなんなのか?地球はどうなる??そしてウルトラマンは――何故人間たちを救うのか!?

全体的な感想

庵野秀明の手のひらで転がされてる……
絶対おもしろいんだろ〜な〜〜〜と思いながら見たら案の定面白かったです。庵野だけに(は?)
個人的にはシンゴジラの方が好き……とか言ったらお?dis記事か???て感じですがそれだけは違います、あくまで『私の』『好みは』という話。比較するからいやらしい流れになるけどシンウルも単体で見るとめちゃ面白かった。きっと原作シリーズを知ってると100億万倍面白かったんだろう……。

登場人物について

またの名をリピアさん。今作の主人公。なお故人(え!?)
子どもを庇って死んだ神永と外星人リピアのミックスそれがウルトラマンです。ミックスっていうかだいぶリピア部分がデカい気がするけど……。序盤で色んな言葉の定義について質問してて、この時点で(ああすり替わってる……)と察するなどしましたが、メンバーがそんなに不思議がってないのを見るに元々ちょっと変な奴だった説ありますよね。子どもが取り残されてるのに気が付いて即座にそっちに向かったのは皆んなに隠れて変身する方便だと最初思ったんですが、時系列的にあの時彼はまだウルトラマンでは無かったので本当に素で子どもを救うために動いたんだっていう。咄嗟にそういう行動に出られる男、神永新二。良い奴じゃん……。
浅見さんの体臭嗅ぐシーン、ガワが斎藤工だから許されるんだからなお前。

ヒロインさん。割としっかりヒロインしてます。大きくなるしね!
分析官ですけどもっと分析官っぽいところ見たかったな……彼女が出てきた時点でもうウルトラマンの独壇場だったので仕方のない部分はあるけど。
巨大化したおみ足のシーンでキャスティングに納得するなどしました。

  • 滝明久(有岡大貴)

今作のオタク枠。今時の若者感が強い。今時の若者なのですぐメンタルがやられます。でも持ち直すぜ。
部屋の壁全てをホワイトボードにして計算式で埋めるのカッコいいな……と思いました。私もやりたい(数学評定2)

禍威獣がヤバければヤバいほどなんかテンション上がっちゃう系女子。ストレス負荷かかると過食するとこめちゃくちゃ共感しちゃって好きになりました。私もめっちゃお菓子食うよ……。シャバに出られるぜ!ってなってもとりあえずお菓子鷲掴みにする意地汚さがハイパー好き。
データがお釈迦になった時の取り乱しっぷりが良かった。

禍特対班長西島秀俊の時点で色々ずるいんだわ。
薬指に指輪してるの見てウワーーーーーーーーッてなってしまった。どこ見てんの?
なんかもうとにかく有能オブ有能て感じ。ウルトラマンの自己犠牲を良しとしない善性の持ち主。精神が高潔……。理想のリーダーNo.1ですね。

禍特対室長。
このおじさん一番好き!!!!!!!
「経費はウチじゃなく防衛省に回しといて^^」とか飄々という感じむちゃくちゃ好きです。こんな上司がほしい2022第一位やろこんなん!!このおじさんのスピンオフ出てほしい(出ない)

予告でブランコ漕いでるのが印象的すぎました。Twitterでみんなメフィラスメフィラス言ってるから絶対ラスボスだと思ったらあっさり帰った 何だお前!?
しれっとウルトラマンに割り勘させるところ大好きです。絶対お前ウルトラマンの3倍飯も酒も平らげてたからな。己の損になることは死んでも嫌って姿勢が垣間見える、私の好きなシーンです。

シンゴジラ』と『シンウルトラマン

シンゴジラ』に出てくるゴジラって、ま〜〜〜〜〜〜〜じで恐ろしすぎるバケモンで、映画の始まりから終わりまで、もう本当に絶対的かつ絶望的な存在なんですよね。それこそ『神』と呼ぶに相応しいほど。
勝てない。
絶対勝てないあんなん。
人間がどれほど叡智を絞っても、考えうるありとあらゆる手段を講じても、それまで怠惰だった権力者ですら目が覚めたように剛腕をふるっても、それでも『勝てない』。絶望を形にしたような存在。見ているこちらまでどうしようもない無力感を感じました。映画館で見ていてマジでしんどすぎてゲボ吐きかけたもんな。
この『絶望』が、ある科学者によりほんの少しだけ打開策が見えて、日本中のウルトラ有能メンがエンジン全開で突破口に向けてもがきまくって何とか引き分けに持っていくのが『シンゴジラ』。とにかく人間側の一体感が凄かった。風……何だろう吹いてきている確実に。無人在来線爆弾のテロップマジで最高だったな……。

一方の『シンウルトラマン』における怪獣は、そこまでの絶望感はない。だって地球にはウルトラマンがいるから。そういう点で前半部のウルトラマン登場シーン以前は割とシンゴジラみがあってすげえ好き。というか開幕ゴメス登場は狙ってるやろ……。俺らのウルトラマンがバリ強なので禍威獣が手強くっても心のどこかで安心出来るのです。
見ていて絶望を覚えたのは人間社会の方。
シンゴジラであれほどの魂の輝きを魅せてくれた人間達の何と……何と愚かしい……日本に核を落とさせない為に必死に奔走した彼らはどこに行ったの!?なんか外星人達、何であんなするする人間の愚かポイント引き出してくるくる踊らすの上手すぎてキツイ。なんで?未熟な地球人とは比べ物にもならんほど成熟した奴らだから。はい……。『弱い』ってつらいな。

シンゴジラと比べ、シンウルトラマンは人間の脆さがダイレクトに描写されていて、その世知辛さが勝ってしまった感がある(個人の感想です)

それでも、そんなクソみて〜な地球人のため、ウルトラマンは独り戦い続けます。どうして?そんなに人間が好きになったのかウルトラマン人間が愚かしければ愚かしいほどウルトラマンの高潔な精神が光り輝いて見える。そんなウルトラマンですらもうダメになった時、ようやく人間も立ち上がるのがいいですね。勝ち目ゼロのゼットンにも実は勝機があったのだ。それを人間達が見つけ出す。そしてウルトラマンは捨て身で向かう。美しき相補的関係!
きっとこれからも地球にはありとあらゆる厄介マンが次から次へと襲ってくるんでしょう。頑張れウルトラマン負けるなウルトラマン。そんなウルトラマンに守られるに値する人間に私たちはなれるんだろうか。人間、崖っぷちに立たされるとめちゃくちゃ頑張れるんですよ。でもウルトラマンが側にいる状況で、そんな底力出せるかな。清い魂を持ち続けられるかな……。
ウルトラマンに愛されて恥じることのないような、まっすぐな人間になりたいなあ、と思いました。リピアの犠牲を良しとしない田村室長や、子どもを守る為に走った神永みたいにね。

まとめ

映画も面白かったけど、見終わったあと解説ブログとかで過去のテレビシリーズとの比較とか見てるのがむちゃくちゃ楽しかった。庵野さん本当にウルトラマンが好きなのね……。ウルトラマンのオタクに嫉妬。絶対鼻血出るほど面白かっただろなあ。

シン仮面ライダーも楽しみにしています🏍